なぜ私たちは「頑張りすぎてしまう」のか〜過緊張・文化の刷り込み・そして“ゆるめる力”を取り戻す〜

「もう少し頑張れば」「まだ大丈夫」「家族のためだから」
そうやって、自分を追い込んでしまうことはありませんか?

気づけば肩に力が入り、呼吸が浅く、心も張り詰めている。
“頑張ること”が当たり前になっている方が、今とても増えています。

「頑張る」は悪いことではありません。
ただ、“ずっと頑張り続ける状態”が続くと、心身は過緊張のまま固まり、疲れが抜けなくなってしまうのです。

今日は、なぜ私たちが「頑張りすぎてしまうのか」。
その背景と、そこから抜け出すヒントをお話しします。

1. 「頑張る」が美徳だった時代の刷り込み

私たち昭和・平成世代が育った環境には、「努力」「根性」「我慢」が当たり前の価値観としてあったように感じます。

家でも学校でも、頑張ること、我慢すること、誰かに譲ることは“良いこと”として褒められてきました。

それは日本という国の文化にも深く根づいています。
「休む=怠ける」「人に迷惑をかけない=自分を後回しにする」
そうした考え方は、知らず知らずのうちに私たちの心の奥に刷り込まれているのです。

その結果、無意識に“頑張りモード”がデフォルト設定になっている。

これが、現代人が多くが抱える「慢性的な緊張(過緊張)」の原因の一つです。

2. 海外で気づいた「休む文化」の違い

私は結婚をしてメキシコで4年、南アフリカで2年半暮らしてきました。カルチャーショックはいろいろありましたが、最も驚いたのは「人がよく休む」ことでした。

週末は家族や友人とゆったり過ごし、仕事の連絡は受けない。夏と冬には1ヶ月ほどのバケーションをしっかり取る。

“休むことが生きる一部”として自然に受け入れられているのです。

メキシコも南アフリカも、金曜日のランチタイムはもうビール(笑)午後は家族との時間という方も多かったです。

また、「夕飯は作らない」という国が多いことにも驚かされました。

台湾人のお友達は「妻やお母さんが料理を作る」という文化がないと教えてくれました。夕飯も買って済ませるのが普通なので、夜のストレスはあまりないとのこと。

ドイツ人友達の夕食にお呼ばれしたときは、夕飯はワインとおつまみのようなものでした。これは、冷たい食事「カルテスエッセン(Kaltes Essen)」と呼ばれ、パンを主食に、ハム、ソーセージ、チーズ、ピクルス、野菜などを並べるもの。温かくてボリューム満点の食事は昼食だけで、朝と夜は簡単に済ませるのが一般的だそう。

一方で、日本ではどうでしょう。
そもそもバケーション文化がないので、休むのが苦手ですよね。

せっかくバカンスに出かけても予定を詰め込みすぎて旅を終える頃には疲れきっているタイプの方も多いはず。(あ、私です)

やむを得ず仕事を休むときにも罪悪感を感じ、「みんなに迷惑をかける」と思ってしまう・・・私もまさにこのタイプです。

さらに、「休み中も働いてしまう」真面目な精神な私たちは、身体も心もリラックスできる時間が極端に少なくなっています。

夕飯作りにも、真面目で丁寧な日本人の性質がよくでていますね。世界の中でも、日本は家事にかける時間がダントツに多いのです。

そんな完璧すぎる生活を続けている私たちは、心にも身体にも“余白”がありません。

「ゆるめる」を意識的に行わないと、どんどん思考が凝り固まり、眉間にはシワが寄り、他人のミスが許せず、些細なことでイライラし、新しいことに挑戦するエネルギーすら無くなっていきます。

3. 過緊張とは何か?

生理学的に見ると、“頑張りすぎ”は自律神経のバランスが乱れた状態です。

人は、ストレスや緊張、責任感を感じると、交感神経が優位になります。これは「戦う」「逃げる」ためのモード。いわば体の緊急スイッチです。

日中はこのスイッチが入るのが通常ですが、そのスイッチがずっと入りっぱなしになると、筋肉は硬くなり、呼吸は浅く、心拍数は上がり、眠りも浅くなります。

これが“過緊張”で不調が増える原因です。

さらに、頑張りすぎる人の多くは、この過緊張に気づいていません。

それどころか「まだ大丈夫」「私がやらなくちゃ」と走り続けてしまう方が本当に多いです。

「身体が重い」「感情のコントロールができないときがある」「寝てもスッキリしない」そんな状態が続いていたら、身体からのサインかもしれません。

4. 「休むこと」に罪悪感を持たないで欲しい

頑張りすぎのサイクルから抜け出すための第一歩は、「休んでもいいよ」「手を抜いても大丈夫」と自分に許可を出すことです。

始めは、違和感があることでしょう。何十年も頑張ってきたのだから、それは当たり前ですね。でも、練習しましょう。

それでも頭の中が忙しくなってしまう、思考が止まらないという方は、ヨガもおすすめです。ヨガの時間は、「何かを成し遂げる」ためではなく、「自分をただ観察する」という練習の時間でもあります。

たとえば、3分だけ深く息を吸って、吐いてみる。身体を伸ばしてみる。ただそれだけでも、交感神経のスイッチは少しずつオフに切り替わります。

頑張りすぎる方は「リラックスする」を習慣化していきましょう。それが、心と身体を回復させるための最も確実な方法だからです。


5. ヨガで“頑張らない自分”を取り戻す

私がヨガに出会ったのは、海外で心を病んでしまったときでした。

毎日孤独で「〜たら〜れば」の思考が止まらず、日本にいる友達と比較して焦り、「もっと頑張らないと私には価値がない」と思い込み、漠然とした将来への不安に襲われていました・・・

過食し、体重増加も止まらず、鏡を見るたびに泣きたい気持ちに。自分に自信が持てなくなり、夫にも八つ当たりする日々。

そんな中で始めたヨガで「頑張らなくてもいい自分」に出会いました。

頭の中がぐちゃぐちゃだった私にとって、過去や未来のことを何も考えずに過ごすヨガの時間は、素晴らしいリフレッシュ習慣となりました。

気づけば、ガチガチだった身体がゆるみ、呼吸が深くなり、感情が穏やかになり、前向きな思考になりました。こうやって書くと『魔法』みたいで嘘みたいですが・・・本当の話。


まとめ

私たちが頑張りすぎてしまうのは、怠けたいからではなく、
「より素敵に生きたい」「誰かの役に立ちたい」という優しさから。

でもそろそろ、その“優しさ”を自分に向けてみませんか?

呼吸を整え、肩の力を抜く。
それだけで、あなたの中の緊張は少しずつ解けていきます。

“頑張る”から“整える”へ。
その小さな一歩が、あなたを“疲れないカラダ”へと導いてくれます。


◎この考え方を日常で実践していくために、「タフ活」では、呼吸法、ストレッチ、ヨガ、トレーニングを通して、“自分を整える習慣”を一緒に育てています。

「頑張らない強さ」を、あなたの中に。


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